最短2年、SHIZQの器ができるまで


山での伐採にはじまり、製材、乾燥、木地加工、塗装の工程を経て、しずくの器はできあがります。

 

しずくの特徴は何と言っても、ツートンカラーが美しい年輪が重なるデザイン。
しかし、「木の器の木目は縦」「ましてや加工しづらい杉なんて」と、木工業界では非常識とされました。
誰もやらないからそんな材料を作っているところすら、ありませんでした。
だから、しずくの器は自分たちの手で材料を調達するところからはじまります。

材料の調達・伐採

神山町で製材業を営む金泉さんの協力のもと、しずくの材料となる杉の木の伐採作業を行います。

斜面に生えた木をどう倒すのが良いか。倒した木はどのように運び出すのか...。
木の命をいただくために、時には命の危険も伴う、「木を切る」ということ。
現場に出ないと決して分からない重みと尊さ。

わたしたちにとって材料調達だけでなく、自然とともに生きることを学ぶ貴重な経験にもなっています。

 

製材

しずくの器づくりの要とも言える製材工程。
製材は大きく分けて『皮むき』『木取り』『割れ止め塗り』の3つの工程に分かれます。

1.皮むき

乾きやすさや、皮からでる灰汁で変色するのを防ぐため、丸太の皮を残らず剥いでいきます。


2.木取り

木地加工に向けて丸太を角材に製材していきます。
しずくの木取りは、一般的な方法とは全く異なる柾目(まさめ)取り。
杉の赤白のツートンカラーを美しく活かすための特別な取り方です。

切ってしまえば後戻り出来ない一発勝負の作業。
取り方を間違えれば価値が大きく変わってしまうため、事前の念入りな計画が必要です。



3.割れ止め塗り


乾燥の過程で、木が収縮し割れるのを防ぐための作業。
しずくの器は手に取るもの。少しの割れも許されません。割れが入りやすい面は丁寧に、1本1本ムラなく塗っていきます。





 

乾燥


割れ止め塗りの作業が終わったら、約1年半の自然乾燥期間に入ります。
建材では多少の割れは問題無く、人工的に一気に乾燥させることもありますが、しずくの器はそうはいきません。
自然のスピードに私たちが合わせるように寄り添い、ゆっくりと木の状態を整えてあげます。

 

木地加工

 

十分に乾燥を終えた材料から木地加工へと入ります。
まずは木工旋盤で角材を円柱に荒ぐりし、その後は職人自ら製作した刃物で、外側、内側と形を削りあげていきます。





杉の年輪は柔らかい夏目と堅い冬目のギャップが激しく、削るのも一苦労です。
さらに個性もいろいろ。木目の粗さや油分の多さ、時には節があるものも。少しの違いで木の性質も変わります。
同じものはないからこそ、ひとつひとつの木と向き合い、力加減の微調整を行う職人技があってこそ、しずくの形は作られていきます。





 

塗装

できあがった木地は、塗装の職人たちの元へ。最後の仕上げ作業になります。
『鶴シリーズ』はナチュラルな木目を活かしたクリアコーティングを、
『亀・亀八シリーズ』は拭き漆を施され、より一層上品な木目に仕上がります。


塗装後、十分な乾燥を経てようやく、みなさんのお手元に届けられるようになります。



 

杉の年輪のように、たくさんの人の手が積み重なってできたしずくの器たち。

未来のために植えられ、60年、70年と立派に育った杉を、また次の未来に繋ぐものへ変えられるように...
これからも支えてくれる職人たちと一緒に、想いを繋ぐものづくりに取り組んでいきます。